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ピンク・アンダーソン Pink Anderson

ピンク・アンダーソン、もしくはピンク・アンダースン(1900 - 1974)なんて男性にしては変わった名前ですが、「Pinkney "Pink" Anderson」とも表記されることがあるサウスカロライナ出身のブルースマンです。
ピンクアンダースンの半開きのジャックナイフも使用したスライドさせるギター奏法はエレキのような効果を生んだそうです。
私が不思議に思うことはその名前です。ピンクという色に意味があるのかどうかは不明ですが本名なんでしょうか、もし芸名なら何故ピンクにしたのでしょう。

ピンク・アンダースンは1928年にアトランタのコロンビア・レコードで盲目の歌手のシミー・ドーリー(Simmie Dooley)と録音してはいますが、その後も古々しいギブソンギター(GibsonJ-50)とブルースハープを演奏して薬売り実演(Medicine Show)を30年間続けていたそうです。
※Medicine Showというのはエリクシール(蛇油)という万能薬などを手品やジョークなどを交えて売り込む実演販売で主に19世紀に始まり第二次世界大戦までアメリカ南部あたりに多く存在していた旅回りの一座だそうです。番組の合間にCMを挟む現在のテレビの形態の元ともいえるでしょう。

ピンク・アンダーソンはこんな顔
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Medicine Show Man
Chicken by Pink Anderson
オリジナルが1962年のアルバムの全曲試聴
Medicine Show Man - Amazon.com

薬売りといえば、私の子供時代には街角で聞えた”さてお立合、手前ここに取りいだしたるは筑波山名物ガマの油・・・”という「ガマの油売り」の口上に人だかりがしていました。こちらの宣伝手段は音楽なんかじゃなくて真剣で腕を切って見せて傷薬を塗って血止めする実演でした。(本当に切ったのかは不明だが、軟膏はメンタムのような缶入り) 保存会の方々の上品な口上とは全く違って極悪非道の見本みたいな迫力満点のおっさんが凄みを利かせてしゃべっていました。(口上を聞いたのに薬を買わないとぶった切られる うっそ!)

Carolina Blues Man, Vol. 1
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Last.fmのチャートで人気のBig House Blues、Baby I'm Going Awayが収録されているオリジナルが1961年のアルバムの全曲試聴
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Gospel, Blues And Street Songs
1950年にストリート・ブルースマンのピンク・アンダーソンの歌7曲を録音し、ピンク・アンダーソンと同郷のブルース・ギタリストだった盲目のゲーリー・デイヴィス(Gary Davis)と一緒のリヴァーサイド(Riverside)LP「Gospel, Blues And Street Songs」がリリースされたそうです。15曲収録したこのアルバムは現在はCD化されています。
私が聴いたのがリヴァサイド・レコードの「Original Blues Classics」シリーズの一枚の「Gospel, Blues and Street Songs」でした。ギターのユニークなフレット奏法が聴けるバラードの”John Henry”、詩的な”I Got Mine”や”He's in the Jailhouse Now”などを収録してありますが、私は”Greasy Greens”や”I've Got Mine”が気に入っています。
1956年に録音されたカロライナの吟遊詩人、宣教師ゲーリー・デイヴィスの方は”Samson and Delilah”や”Keep Your Lamp Trimmed and Burning”などの代表的なスピリチュアル曲が収録されています。
全曲試聴はGospel, Blues And Street Songs - CD Universe

1960年代初期のブルース・リバイバルでは何枚かの自分名義のアルバムもリリースしたピンク・アンダースンはピドモント・ブルース(Piedmont)の代表的ミュージシャンとして認識されたそうです。
※ピドモントとはアメリカの南東部(アパラチア山脈南東、バージニア、ノースカロライナなど)の貧しい白人と黒人が混在していたような地帯で19世紀後期に生まれたラグタイムや民謡色の濃い黒人ブルースなんだそうでから20世紀初期頃まで盛んだったそうです。南部のルイジアナやニューオリンズのデルタブルースとは異なる系列らしいですが。

ピンク・アンダースンは1963年の映画「The Bluesmen」に登場したそうですが、1960年代後期には心臓発作により音楽活動を制限することになりました。

後世、ピドモント・ブルースのピンク・アンダースンがロックの世界で知られるようになったのはそのピンクという名前です。1960年代中頃にシド・バレット(Syd Barrett)がもう一人のピドモント・ブルースのギタリストのフロイド・ カウンシル(Floyd Council)の名前と合成してバンド名としたからだと伝えられていますが真偽のほどは不明です。 その名は「Pink Floyd」
私はてっきり精神分析学者のジークムント・フロイトかと思っていました。

Pink Anderson - C.C. & O. Blues 1928 - YouTube






by koukinobaaba | 2008-10-17 22:50 | 音楽
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