IL Mulino Delle Donne Di Pietra
「生血(なまち)を吸う女」だなんて、邦題はなんてオドロオドロしい題名の映画なんでしょう。 ですが女が生血を吸うのではありません。 フランス語のタイトルでは”Le Moulin des supplices”だそうですが原題は”IL Mulino Delle Donne Di Pietra”(石女の風車小屋)という1961年のイタリア映画で、監督だけでなく原案及び脚本も手掛けた「バッカスの狂宴(Le Baccanti)」に続いてジョルジオ・フェローニ(Giorgio Ferroni)が監督したホラー映画です。1957年頃から始まったイタリアのゴシック・ホラーの名作の1本らしいです。 ジョルジオ・フェローニはその後1972年に「悪魔の微笑み(La notte dei diavoli)」というゾンビホラー映画の他、1965年の「荒野の1ドル銀貨(Un dollaro bucato)」などのマカロニウエスタンなどで有名になった60年代に活躍した監督です。 「生血(なまち)を吸う女」はオランダの村にある古びた教授の館を訪れた若者が体験した怪奇物語です。オランダですから風車小屋もテーマになっています。美術学生が研究論文のために興味深い塑像(石像)の持ち主の教授を訪ねて行きます。 教授の屋敷には古々しい水車が回っていてその歯車を利用した回転台でジオラマ風の恐怖の蝋人形展が見せられるのです。そこで神秘的な美しい教授の娘と出合った若くてハンサムな若者は誘惑されてしまいますが、以前の恋人を愛していた若者はそれを娘に告げたのです。ショックを与えると死んでしまうとは教授から聞いていましたが、驚く若者の前で本当にその娘が突然死んでしまうのです。 もっと驚いたことになんと又生き返るのです。 そして風車小屋で再会した教授の生徒の一人で若者の恋人が知り合いのモデルで酒場の歌手のアンヌローリー同様にこの後に行方不明となります。 その可憐な恋人を演じているのは可愛いかったダニー・カレル(Dany Carrel)で、教授の娘のElfie Wahl(エルフィー)役はグラマー女優のScilla Gabel(シーラ・ガベル)です。 実は教授の娘のエルフィーは血を入れ替えないと死ぬという奇病だったのです。そこで父親は若い娘を次々とを誘拐して生血を愛娘に輸血していたのですが、恐ろしいの上塗りで、血を抜かれた娘たちの屍体は老人行(石像)にしてしまうのでした。まさしく風車の歯車を利用した回転台がその展示場です。しかもテーマは残虐きわまりない処刑や拷問です。 恐怖の映画音楽はイタリアの作曲家のカルロ・イノセンツィ(Carlo Innocenzi)ですがサントラは見つかりません。 ☆ロシア語のサイトですが「生血を吸う女」の写真がストーリーを追って見られるCULT Cinema 「生血(なまち)を吸う女」に若者役で主演しているのが「バッカスの狂宴」にも出演した美男俳優のピエール・ブリス(Pierre Brice)なんです。ピエール・ブリスは1958年の「危険な曲り角」でデビューした後に主演したのが私が始めて劇場で観た1960年の「くち紅」でした。美青年で登場したかと思えばホラー映画に出演したピエール・ブリスでしたが、ヨーロッパでの一番人気はインディアンを演じた「大酋長ウィネットー(Winnetou, Ii Teil)」というTVシリーズだったそうです。 「生血(なまち)を吸う女」は怪奇ですがエロ映画ではないので裸女も血しぶきも出てはきません。このような愛娘の治療のために若い女の子を生贄にするストーリーの映画は1959年のフランス映画でアリダ・バリ(Alida Valli)が出演した”顔のない眼(Les Yeux sans visage)”に酷似しています。違う点は「顔のない眼」では若い娘の顔の皮を剥いだら死体は蝋人形にせずに道端に捨て去るという点でしょうか。 ジョルジオ・フェローニは日本未公開でしたが、ジャズピアニストのジョルジオ・ガスリーニ(Giorgio Gaslini)が音楽を担当した1972年の「La Notte Dei Diavoli(悪魔の微笑み)」も監督しています。 The Night of The Devils - YouTube data-count="horizontal" data-via="koukinobaaba">Tweet
by koukinobaaba
| 2008-02-05 22:18
| 映画
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