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ランナウェイ・カー Runaway Car (1997)

1997年にジャック・ショルダー(Jack Sholder)が監督したテレビ用のアクション映画に「ランナウェイ・カー(Runaway Car)」というのがあります。
「ランナウェイ・カー」は1996年にアメリカで実際子供を乗せた暴走車からレスキュー隊が救助した事件が起こったことをヒントにしてテレビ用に作られた映画です。

当時の暴走事故を伝えるビデオが観られます。
Rescue 911 - Toddler in runaway car - YouTube

「ランナウェイ・カー」は日本では劇場未公開でしたが、発売されたビデオには「暴走ハイウェイ・奇跡のチャイルドシート」というタイトルが付いています。
一方、2015年にDani de la Torre(ダニ・デ・ラ・トレ)が監督したスペイン映画「El desconocido(暴走車 ランナウェイ・カー)」は銀行支店長と子供たちが乗った車に爆発物を仕掛けられて座席を離れると爆発するから大金を払えと脅される犯罪映画です。
ちなみに「ランナウェイ・カー」ならぬ「ランナウェイ・トレイン」として2010年にデンゼル・ワシントンが主演した「アンストッパブル(Unstoppable)」という暴走機関車の映画があります。監督はトニー・スコット(Tony Scott)です。

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Judge Reinhold in Runaway Car


「ランナウェイ・カー」は、職場でいやなことがあった看護婦見習が修理が仕上がった自分の車に修理工場で知り合ったコンピュータのプログラマーを同乗させるのですが、途中で姉の家に寄り実家に届ける姪ッ子を預かります。運転する看護婦と見知らぬ同士の男2人と赤ちゃんを乗せた自動車が突然故障して猛スピードで高速道路を疾走してしまいます! どうやっても止まらない!
すわ警察は赤ちゃんを救出に乗り出すといったそら怖いストーリーです。
スリリングですがスリラーではありません。無名の映画とはいえ、だれる部分がなく緊迫感の連続です。

「ランナウェイ・カー」の粗筋
完全ネタバレですのでこれからビデオをご覧になる方は読まないほうが楽しめます。

J. Peter Robinson(J・ピーター・ロビンソン)の音楽が恐怖感を誘う冒頭は修理工場のガレージの中の車のアップから始まります。
修理場で一人の修理工がボンネットを開けブレーキオイルの点検などを済ますと、続いてカメラは高速道路の俯瞰図を捕らえ、再び修理場に戻って修理工が車に乗り外に出て行くのを追います。
その後に残った他の作業員が車から落ちたらしい車の部品を拾い上げポイっとそばの入れ物に投げ込みます。 これが伏線。
ラジオの音楽にご機嫌な修理工は乱暴に通りを試運転するのですが、途中で何か調子が変だとは思ったのです。 これも伏線。

次は病院での手術シーンに変わり、おちょぼ口でケツアゴのNina Siemaszko(ニーナ・シマーズコ)が演じる見習い看護婦のJenny Todd(ジェニー)のアップです。この時、ジェニーは手際が悪くて担当の手術担当の医師から叱責を買って嫌な思いをしました。 

修理工が自動車修理場に車を戻したところに先ほどの病院でのジェニーが同僚の看護婦に送られて自分の車を取りに来ます。 これってあの車?

シーンは元の修理場、ここで口の軽いコンピューター・プログラマーのEd Lautner(エド)を演じるJudge Reinhold(ジャッジ・ラインホールド、又はジャッジ・ラインホルド)が登場。
時間がないのに自分が修理に出した車が間に合わないエドと、修理に出した車を取りに来たジェニーとがここで出会います。親切なジェニーは会社設立に上機嫌のエドを乗せてやるのですが、途中でElizabeth Dennehy(エリザベス・デネヒー)が演じる姉のShari Todd(シャリー)から女の赤ちゃんを預かります。車にベビーチェアーを取り付けて再び運転。この辺で不吉なことを予測するような音楽に変わります。

車の進行方向の歩道にはローラーボードに乗った茶髪の黒人の若者が見えたが、突然転倒して車の前に飛び出したのです。急停止してジェニーが助けおこしたところ青年は大丈夫だと言ったのです。が、考えなおした青年は結局姉の子供の隣に乗っていくことに相成った。この若者はBrian Hooks(ブライアン・フックス)が演じるDexter 'Dex' Strang(デクスター)です。
この時の急ブレーキが後で怖いことにつながるとは誰も知らない。

大急ぎのエドにとっては2度目のトラブル。イライラして上腕に禁煙テープを貼っているのに煙草を吸おうとしてしまった。赤ちゃんが同乗してるのにとジェニーとデクスターにたしなめられる。
赤信号で止まっている時にパトカーを見た。 が、その途端ジェニーの車は超スピードで急発進したのだ。
かっこういいLeon(レオン)が演じるハイウエーパトロールの警官”Isaiah 'Beau' Beaufort(アイザイア)”に故意ではないことを釈明すると規則違反の罰金刑で済んだが、ジェニーは車を再チェックしに修理場に戻ると言い出す。
エドにとっては3度目のトラブル。
急いでいるエドのたっての願いでとりあえずは発進。
そして3人と赤ちゃんの乗った車は高速道路に入った。

その頃には車のスピードが60キロから70キロ、80キロと加速していき、ジェニーも何かおかしいと感じた。ブ・ブ、ブレーキが効かない!
時速80キロを越しても車は止められない!車を縫って蛇行しながらハイウエイを疾走するジェニーの車。
とうとう最初の接触で相手の車のバンパーが落ちた!
ブレーキと共にシフトレバーも効かない!最初は愉快がっていたデクスターも真剣に対策を講じることになったが埒が明かず。手で何とかしようとしたエドはブレーキペダルを取ってしまう。次にサイドブレーキを力いっぱい引くとタイヤ辺りから白煙が立ち込めて車中にも臭うようになる。

場面は警察署ではPaul Eiding(ポール・エイディング)が演じる警官のWally Baird(ワリー)の引退祝いの最中、一方ジェニーの車はハイウエイを猛スピードで疾走中!
そこにパトカーのサイレンが、今回ばかりは”神の助け”。
「その車、止まりなさい!」とマイクで呼びかける警官に「出来ないんだよー!」と応酬するエド。
パトカーは次々と出動、テレビ局の報道ヘリコプターも出動!
車の中の3人は不安、「こちらの状況を把握してるのか?」「もしかして射撃されるかも。」
そこでコンピューダー・ウイズのエドが新兵器を取り出した。今じゃ誰でもが持っている携帯電話。
レスキュー911に連絡する。もっと早く気付けばよかったねえ。

ジェニーの車の事件は先ほどの引退予定のワリーの最後の仕事となったようです。
ワリーはジェニーにギアをニュートラルに入れるように指示しますが当然出来ません。指示された点火装置のエンジンキーも抜けてしまう始末。警察側はハイウエーの左車線をジェニーのために空けたと伝えた。
そんな折、体格の良い男が用を足して大型トレーラーに乗り込んだが大音響で音楽を流しているのでパトカーの「そこをどけ!」というハイウエイ・パトロールの指示が聞えない。危うく衝突をさけたが次々と車と接触を起こし車から降りたドライバーを轢きそうにまでなった。
情けないことにあまりの暴走の恐ろしさにエドは後部座席にあったベビーバックに嘔吐する始末。
やっと前方には他の車がいなくなった。さて、これからどうなる?
赤ちゃんがいるからと対策を講じる警察。
今やジェニーの車は100キロのスピードで失踪中。後を追うパトカーに乗っているのは先ほどジェニーが急発進した時に止めた警官のアイザイアだった。「今じゃ私を信じてくれるわね。」と言うジェニーにようやく納得のアイザイア。

その時、後部座席で駄洒落をふりまいていたデクスターに突如名案が浮かんだようだ。身軽に前に乗り移ると車の下にもぐりこみ配線接続をあれこれ試してみた。けっこうメカに強かったデクスター。だがプラグが無いということで効果は得られなかった。
ジェニーの車は前と後ろをハイウエーパトロールニ守られてひたすら前進。ハイウエーを降りるとSpringfield(スプリングフィールド)の町に入る。しかも町の標語(モットー)が皮肉にも”The City that Never Stops”。
ジェニーの車が通ることを知らされた町は対策に大わらわ。
「もう貴方たちを信じない。」と言い出すジェニーを説得するアイザイア。
車の中ではデクスターがボンネット(フード)の中の配線をいじってエンジンを操作することになった。ジェニーがボンネットを開けると100キロという猛スピードなので壊れてフタが後方にぶっとび、危うくアイザイアが運転する後続のパトカーが大惨事になるところだった。
ひるまずデクスターは窓からボンネットに移るがこんな超スピードではしがみついているのも容易ではない。案の定、車の屋根後方に飛ばされてしまったデクスターをサンルーフ(天窓屋根)から引きずり込むエド。なんとか無事だったデクスターだが足に傷を負って血だらけ。ジェニーの頭には一瞬病院での出来事が蘇ったが、危ういところで正気に戻りエドに手当ての支持をする。
ここで再び難関が待ち受けていることを警察から知らされたジェニー。湾岸にかかった撥ね橋に到達すると危険なのです。なぜなら故障していて橋が閉まらないから通れないのです。つまりガソリンが切れて車が止まらない限り、ジェニーの車は海にドッボーン!
それにスプリングフィールドの市長は危険な車を町に入れたくありません。

そこで後続のアイザイアが提案した。赤ん坊を窓越しに受け渡すと。デクスターがベビーシートのベルトを外し前のエドに渡す。隣接して走行するパトカーのアイザイアに渡すのだ。ためらうエドをジェニーが選択の余地が無いと説得する。窓から身を乗り出して両手で赤ちゃんをアイザイアに渡そうとするエド。アイザイアは運転しているから片手しか出せない。これでうまくいくのか。2台の車は付いたり離れたりと難しい。子供を持つ観客は身につまされるシーンです。

泣き叫ぶ赤ちゃんを車の窓からアイザイアに渡そうと何度か試みたエドは「もうできない!」と赤ちゃんを抱いてしまいます。人の子ならそりゃそうです。
その頃、姉のシャリーはテレビ報道で知った緊急事態を実家の母親に報告します。
一方、警察はジェニーの車の上空で事件を追っているヘリコプターに連絡しますが、なにしろテレビ報道用で救助用ではありませんからレスキュー用具を積んでいません。ようやくヘリから下ろされたバッグを車の天窓から入れて赤ちゃんをフックに結び付けます。 やったー! ん?このままじゃ途中にある陸橋に激突!警告されたヘリが急上昇して難を逃れた赤ちゃん。 ホッ。 車中の3人はもとより、ヘリの乗員たちや警察では冷や汗をぬぐうワリーを含めて一同が大喜びです。赤ちゃんがヘリから吊り下げたまま警察まで無事到着しました。

さて湾岸の跳ね橋コントロールセンターでは私の好きなジャズ歌手のKetty Lester(ケティ・レスター)が演じるWillie Mae(ウィリー・メイ)の姿が見えます。(Wilmaという名前なんでしょうか。)

こんな大事な時にエドの電話が普通になりました。 なに!料金を払ってなかったの?
警察と報道との連携プレイでなんとかジェニーのカーラジオを通して連絡が出来ました。
スピードを落とすため、激突しないように前に回ったアイザイアのパトカーの後ろに付けるのです。この時のジェニーのドライヴィング・テクニックはそうとうなものですがジェニーたち3人もアイザイアも命がけです。
さて警察本部ではアイザイアに州の境界線だからジェニーの伴走はもう止めるように申し渡しますが、「やめろっと言われても、なかなかやっめられない。。。」状態のアイザイアは特攻します。市長は橋を下ろすか警官を死に至らしめるかの選択に迫られます。
もう限界で意識も朦朧としてきたジェニー、政府からのお達しでようやく橋が降りることとなった。しかし7分でジェニーの車が到着してしまうのに跳ね橋係りのウィリーは8分かかると言い張ったが、強硬命令にともかく跳ね橋のスイッチを操作するウィリーです。
橋が動いた!と大喜びのワリーとジェニたちです。
しかしもともと具合の悪かった橋です。ウイリーが「いい子だから故障するなよ。」と言ったのにも関わらずあとちょっとというところで止まってしまったのです。
橋は動かずジェニーは迫る!
あと3分しかない!奇跡を願ってもう一度レバーを押すウィリー。 橋が降りた!!!
息を呑んでみんなが見守るなか、ジェニーの車は橋に近づいて来る。橋がピッタリと閉じないとバリケードのようになって車は激突してしまうのだ。

そして無事にジェニーたちは橋を渡ることができた。

大喜びしたのはジェニーたち車中の3人はもちろん、跳ね橋係りのウィリー、ずっと警護してきたパトカーのアイザイア、ワリーのいる警察本部、救助に一役買った報道陣、そしてジェニーの家族。

その時、突然車のスピードが落ちだした。ようやくガス欠となったのだろう。160キロから60キロへとドンドン落ちるが、車は止まるわけではない。
滑るように進む車の前方にはなんと子供たちが乗ったスクールバスが。選択を迫られたジェニーはギリギリのところでカーブを切る。ジェニーの車は土手を転がり落ちてしまう。
しかし、車は止まった!
ドアを自力で開けて出てきたエドとデクスター、エドは泣きながら煙草に火をつける。
後続のパトカーから降りたアイザイアは泣きじゃくるジェニーを優しく抱きしめたのでした。
めでたし、めでたし。

昨今は自家用車にチャイルドシードを設置するのが義務となっていますから、このような事故が突然起こっても安心です。 でしょうね。

Judge Reinhold
ジャッジ・ラインホルドといえば間抜けな誘拐犯人を演じた1986年の「Ruthless People(殺したい女)」が傑作でしたが、私が初めてジャッジを観たのはショーン・ペンやフィービー・ケイツと共演した1982年の青春コメディ「Fast Times at Ridgemont High(初体験/リッジモント・ハイ)」で客のクレームに対応しなかったとクビになるファストフード店員のブラッド・ハミルトン役でした。1994年から「The Santa Clause(サンタクローズ)」シリーズや、1980年代にビバリーヒルズ・コップ(Beverly Hills Cop)に出演しています。 

Brian Hooks
「ランナウェイ・カー」でスケートボーダーを演じたブライアン・フックスは2008年に「Fool's Gold(フールズ・ゴールド/カリブ海に沈んだ恋の宝石)」で黒いCurtis(カーティス)を演じています。

Ketty Lester
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「ランナウェイ・カー」で偏屈な跳ね橋操作係りのウィリー・メイを演じたのが私の好きなR&B歌手のケティ・レスターなんですが、「大草原の小さな家」で有名にも関わらず役を選ばず何本もの映画に出演しています。
Hot'n Cool内の「吸血鬼ブラキュラ Blacula (1972)
Audio-Visual Trivia内の「ジュールス・ダッシンのUp Tight! (1968)
Audio-Visual Trivia内のBlue Velvet(ブルー・ヴェルヴェット)ではケティ・レスターの「ラブレター」が使用されました。
☆大ヒット曲の「ラブレター」を歌ったケティ・レスターについてはAudio-Visual Trivia内のKetty Lester sings Love Letters

Runaway Car Soundtrack
「ランナウェイ・カー」の音楽はTom Cruise(トム・クルーズ)のCocktail(カクテル)の音楽を手掛けたイギリスの作曲家であるJ. Peter Robinson(J・ピーター・ロビンソン)です。

「ランナウェイ・カー」
日本語吹き替え版VHSビデオもあるそうですが、TV映画だったためかアメリカにはVHSもありません。

※ この記事は以前参加していた”mixi”で作ったケティ・レスターのコミュニティでの2006年10月01日に書いた14番目の記事をもとにしています。



by koukinobaaba | 2007-04-23 00:58 | 映画
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