「鶴の恩返し」というのは有名な日本昔話の一つで、傷ついた鶴を助けた男「与ひょう」の家に美女に身を変えた鶴(つう)が住み込んで千羽織りを織って恩返しをするというものです。 ちょっと聴いてみましょう。 岸田今日子さんがナレーションをつとめる「鶴の恩返し」の予告編がアット・ニフティのストーリーゲートで見られます。(本編を観るにはniftyに登録して会費が要るようです。) 民話を動画で聞くでは民話会ゆうづるの多勢久美子さんによる鶴の恩返しのビデオが観られます。(文字化けする場合はURLアドレスをGoogleで検索しキャッシュでサイトを見て下さい。) 柳田国男「全国昔話記録」による民話の「鶴女房」又は「鶴の恩返し」を元にして木下順二氏が戯曲化し1949年に発表したものが舞台の「夕鶴」です。 木下順二氏は劇団「ぶどうの会」を主宰、看板女優は山本安英(やすえ)さん、そして定番の演題はこの「夕鶴」です。 主役のおつうを演じた今は亡き山本安英さんの37年に渡る公演は1037回にも及んだそうです。 1964年がぶどうの会最終公演だから私が観たのはその数年前だったと思います。 翌年からは「山本安英の会」が発足しています。 山本安英さんは1986年が最終公演で、1993年に90歳で永眠されました。 私が実際に観たのは、山本安英さんが公演した舞台の1037回のうちの一回ということになります。 「夕鶴」の舞台演出は本当に素晴らしい・・・舞台装置はたった一軒の枠組みだけの家で、他には何もありません。 照明の光と影の絶妙さと音響の効果、そして山本安英さんのこの世の者とも思えぬ美しさ。 本当に鶴になって天に舞い上がっていきそうで、ただただ息を呑むばかりの舞台でした。 この夕鶴の舞台を観る前に能と狂言も観たせいでしょうか、何かそれに通ずるものを感じました。 舞台の醍醐味とはこれだと思いました。映画とは又違った感銘を受けます。病み付きになること間違いない! 鶴になった山本安英さんの「夕鶴」 山本安英 夕鶴 1980年 - YouTube 舞台の「夕鶴」で音楽を担当していた團伊玖磨氏の申し出により、木下順二戯曲に忠実なオペラが創られました。 1951(昭和26)年当時團伊玖磨氏は20代後半でしたが、この歌劇は数々の賞を受賞して海外で上演された最初の日本のオペラとなりました。 エッセイ「パイプの煙」シリーズが公表を博した團伊玖磨氏も2001年にやはり返らぬ人となりました。 ※團伊玖磨氏はフランス映画音楽作曲家のJean-Claude Petit(ジャン・クロード・プティ)が作曲した「Fantasia for Violin and Orchestra(ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジア第1番)」などの管弦楽作品もたくさん手掛けていいます。 ジャンクロード・プティは映画「シラノ・ド・ベルジュラック」や「プロヴァンスの恋」など数々の映画音楽が有名です。 木下順二氏が東大在学中に東大演劇部が山本安英さんの指導を受けていたことから始まった演劇(戯曲)への関わりが後の山本安英さんを軸とする劇団結成につながるわけです。 木下順二氏の作品(戯曲)の殆どは山本安英さんの劇団か宇野重吉氏の劇団民芸で上演されたそうです。 熊本出身の木下順二氏と東京出身の山本安英さんが東京大学で出会う。人生とはどこでどんなめぐり合わせがあるのか分かりませんね。
by koukinobaaba
| 2005-12-12 21:13
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