カーティス・メイフィールド (1942年 - 1999年)は60年代にR&B、ソウル、ファンクのジャンルで活躍したシカゴ・ソウルの神とも呼ばれたアーティストで、後のヒップホップのミュージシャンたちに影響を与えたといわれています。
※ちなみにThe God Father Of Soulと呼ばれたのはJBことJames Brown(ジェームス・ブラウン)でした。 カーティス・メイフィールドは1958年にThe Impressions(インプレッションズ)という5人組のR&Bコーラス・グループを結成し、デビュー・シングルの”For Your Precious Love”がヒットしました。 ゴスペル時代からの仲間だったJerry Butler (ジェリー・バトラー)がソロとして独立した後はリードボーカルとしてSam Gooden(サム・グッデン)とRichard and Arthur Brooks(ブルックス兄弟)や新メンバーのFred Cash(フレッド・キャッシュ)とでクィンテットを結成しました。 新メンバーのインプレッションズの放ったヒット曲の中でも1961年に初ヒットとなったエキゾチックな”Gypsy Woman”は70年代に流行ったファルセット(Falsetto)がその後のカーティス・メイフィールドの名を永遠のものにしたに違いありません。 ”Gypsy Woman”のリリースの後にブルックス兄弟はグループを抜けたのでトリオとなりましたが、カーティス・メイフィールドは1970年までメンバーとして在籍したそうです。 ”Itsy bitsy teenie weenie Yellow polka dot bikini(ビキニスタイルのお嬢さん)”や”Sealed with a kiss(涙のくちづけ)”のヒットで知られるBrian Hyland(ブライアン・ハイランド)が1970年にが”ジプシー・ウーマン”をカバーしたそうです。 私は1968年にリリースされたSantana(サンタナ)の”Black Magic Woman”を聴いた時にこの”Gypsy Woman”にちょっと似ているなと思いました。(似てない?) 1970年代に浮上した有名なファルセット歌手といえば黒人歌手ではThe Isley Brothers(アイズレー ブラザーズ)の小島よしお似のRonald Isley(ロナルド・アイズレー)やSmokey Robinson(スモーキー・ロビンソン)、セクシーなMarvin Gaye(マーヴィン・ゲイ)やAl Green(アル・グリーン)などたくさんいますが、白人歌手でも「Saturday Night Fever(サタデー・ナイト・フィーバー)」でお馴染みのThe Bee Gees(ビー・ジーズ)のヒゲのBarry Gibb(バリー・ギブ)やThe Four Seasons(フォー・シーズンズ)のリードボーカルだったFrankie Valli(フランキー・ヴァリ)やQueen(クイーン)のボーカリストだったFreddie Mercury(フレディ・マーキュリー)などかなりいました。 Jerry Butler and The Impressions - For Your Precious Love - YouTube Curtis Mayfield and The Impressions - Gypsy Woman - YouTube Curtis Mayfield and The Impressions - We're a Winner - YouTube Gospel by Curtis Mayfield カーティス・メイフィールドが”It's Alright”というゴスペル・ソングを歌っていますが、これは1964年から1980年の録音を集めたリマスター盤の「Gospel」(ASIN:B00000GC10)というアルバムに収録されています。60年代ソウルの源であるゴスペルですが収録されている”It's Alright/Amen.”をはじめ全13曲は全てカーティス・メイフィールドが書いたそうです。 収録されている”Amen”は伝統的なゴルペルソング(ニグロ・スピリチュアル)としてはHarry Belafonte(ハリー・ベラフォンテ)のバージョンを60年代によく聞きました。 アルバム「ゴスペル」の試聴はCurtis Mayfield - Gospel - Amazon.com Curtis Mayfield & Impressions- Amen (1964) - YouTube Curtis Curtis Mayfield & Impressions - It's All Right - YouTube Curtis Mayfield & Black Power 公民権運動が盛んだった頃の1965年にカーティス・メイフィールドは”People Get Ready”を発表してヒットさせています。 1968年にはBooker T & The MG's(ブッカーT)がJules Dassin(ジュールス・ダッシン)が監督した公民権運動映画の「Up Tight!」のサントラを手掛けたりして黒人映画や音楽が流行となりましたが、カーティス・メイフィールドも黒人映画「スーパーフライ」のサントラを手掛け、テーマの”Super Fly”をはじめPushermanやFreddie's Deadなどファンキーな曲を収録したアルバムはビルボードのトップになったそうです。 この後もカーティス・メイフィールドは映画やテレビシリーズの音楽をたくさん手掛けました。 Super Fly Soundtrack (1972) by Curtis Mayfield カーティス・メイフィールドはテーマ曲の”Super Fly”他、自作のLittle Child Runnin' Wild、映画「Mob Job」でも使用された”Pusherman”、「Black Heat」でも使用されているGive Me Your Love Love Song" 、Freddy's Dead、No Thing On Me (Cocaine Song)などを書いて歌っていますが、インストのみの”Think (Instrumental)”もあります。 Curtis Mayfield - Superfly - YouTube Curtis Mayfield - Little Child Running Wild - YouTube Curtis Mayfield - Pusherman - YouTube Curtis Mayfield - Freddie's Dead - YouTube 「Darkest of night With the moon shinin' bright...(死ぬまで続くギャンブルは伸るか反るか、やらねば死が待つのみ。)」とカーティス・メイフィールドが歌う”Superfly”の歌詞 ♪ Curtis Mayfield - Superfly (DIsco*Funk) Lyrics - Rádio UOL Shaft or Super Fly, Super Fly or Shaft カーティス・メイフィールドが音楽を手掛けた1971年の黒人映画の「Super Fly(スーパーフライ)」はプリースト(牧師)という麻薬の売人の話です。 Gordon Parks, Jr.(ゴードン・パークス・ジュニア 1934 – 1979)が監督しましたが「スーパーフライ」を含めて4本を監督した後、惜しくもアフリカでのヘリコプター墜落事故により45歳で亡くなっています。 出演者は全部黒人で主人公のプリーストは口髭のRon O'Neal(ロン・オニール)ですが、Carl Lee(カール・リー)がEddie(エディ)を演じ、実生活で何年も刑務所暮らしだったCharles McGregor(チャールズ・マクレガー)が出所して間もなくFat Freddie(デブのフレディ)を演じています。映画の音楽を手掛けたカーティス・メイフィールドはナイトクラブに出演しているThe Curtis Mayfield Experienceとして自身の役で出演しています。 1971年に「Shaft(黒いジャガー)」を監督したマルチタレントのGordon Parks(ゴードン・パークス 1912 – 2006)はゴードン・パークスJrの父親で制作費の予算が取れないゴードン・パークス・ジュニアの映画に資金の一部を提供したそうです。(父親は93歳まで生存) ※ちなみに映画「シャフト」の音楽はIsaac Hayes(アイザック・ヘイズ)でした。 カーティス・メイフィール自身がナイトクラブのシーンで”Pusherman”を歌った映画「スーパーフライ」はニューヨークのハーレムと呼ばれる黒人貧民街に巣くう、いや、君臨する麻薬組織のボスであるプリーストの話です。 ”チョーかっこいい”プリースト。 しかし男どもの憧れのプリースはなりたくてこうなったわけじゃなかったので実は足を洗いたいと思っていたのです。 このままの生活だと自分がじきにムショ入りか死ぬかのどっちかだというジレンマを抱えていたのです。そこで、この町を出ていくために手持ちの金をはたいて仕入れた麻薬を短期間で売りさばいて大金を掴み、美人の彼女とトンズラを決め込もうという夢を抱いたのです。 自由を求めて脱スラム。 しかしトラブル発生、八方塞になったプリーストやいかに。。。警官殺しのままじゃ終わらねぇ! ラストではスローモーションで見せた4人の刑事を相手にしたプリーストのカンフー技が凄い! スーパーフライ! 上映時間は90分ほどですが、脚本は45分くらいだとかで町を歩いているシーンやドライブしているシーンの多い映画です。必然性のないセックスシーンや暴力シーンはありません。プリーストが相手に手を出す時はそれなりに必然性があるのです。 冒頭はカーティス・メイフィールドが歌う私の好きな”Little Child Runnin' Wild”をBGMに悪いことを企みながらスラム街を闊歩するチンピラ二人の映像からはじまる。 ベッドで女と寝ていた黒人プリーストが鼻からコカインを吸い込むと意気揚々と車に乗りこみ延々と町を流す映像。 真っ黒な肌に真っ白なブリーフがまばゆい! ちなみに映画ではスーパーフライのプリーストはコカイン漬けですがこれを演じたロン・オニールはコカイン礼賛のようで嫌だったとインタビューで述べたそうです。 常に真面目顔で笑わぬ男のプリーストが運転している車、ふむふむ、これが「シャフト」にも登場したスーパーフライ・キャデラック(Eldorado Cadillac)か。。。 コンバーチブルのボンネットに取り付けられたフード・オーナメントがかっちょええ!エンブレム まさにフィフティーズのアメリカンな1953年から生産されたその名の通りゴールデンなプレステージカーのキャデラック・エルドラド・モデルはアントニオ猪木などプロレスラーに人気だったとか。 このイカした車は本物のヤクの売人の所有物を拝借したそうで、そのお礼にそのまんまヤクの売人役でキャバレーのワンシーンに出演して頂いたのだとか。クレジットもありで。。。現役の売人が登場することで映画「スーパーフライ」が現実味を帯びてきます。 このように人気のあったカーティス・メイフィールドの音楽活動を停止させたのは90年の野外コンサートのリハーサル中に起きたた照明装置落下事故でした。 これにより首から下の四肢が麻痺して車椅子生活となったもののアルバムを発表したこともあったそうです。事故の後、何年も健康の衰えが伝えられていましたが力尽きて1999年に57歳で亡くなりました。 トップページのメニューからMusicを選ぶと音楽も聴けるカーティス・メイフィールドのオフィシャル・サイトはOfficial Curtis Mayfield Site Tweet
by koukinobaaba
| 2011-08-15 12:20
| 音楽
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