2008年にフランス他ベルギーとドイツの合作で製作され日本では2010年の8月に劇場公開された映画に「セラフィーヌの庭」があります。
20世紀初頭を時代背景に、家政婦から画家になったフランス人のセラフィーヌの78歳までの生涯を描いた伝記映画です。 監督はMartin Provost(マルタン・プロヴォスト)で、ヒロインのSéraphine Louis, dite Séraphine de Senlis(セラフィーヌ)を演じるのはYolande Moreau(ヨランド・モロー)です。 セラフィーヌを演じたヨランド・モローはJean-Pierre Jeunet(ジャン=ピエール・ジュネ)作品に良く出演しており、Audrey Tautou(オドレイ・トトゥ)が主演した2001年の「Ameri(アメリ)」やJuliette Binoche(ジュリエット・ビノシュ)も出演した2006年のオムニバス映画「Paris, je t'aime(パリ、ジュテーム)」内の「エッフェル塔」編などに出演していたそうです。 映画の音楽を担当したのはMike Galasso(マイケル・ガラッソ)ですが主演のヨランド・モローが賛美歌の”Veni Creator Spiritus”を歌っています。 これは”来たり給え、創造主なる聖霊よ”とカトリック教会で歌われる有名な賛美歌の1曲だそうです。 英語のタイトルは”Come, Holy Ghost”で日本では「「きたれや、みたまよ」という題だそうですが、私が通っていた学校はクリスチャンでもプロテスタント系だったので全く知りませんでした。 主人公のセラフィーヌがSenlis(サンリス)の中流家庭で働いていた時にその家の住人となったドイツ人画商がこれまで蝋燭の灯りで密かに描き続けてきた花をテーマにしたセラフィーヌの絵の才能を見出したそうです。 第一次世界大戦を経てセラフィーヌと再会した画商がパトロンとなりこれまでの小作品から2メートル大の作品を手掛ける画家としてさらなる芸術家の道を歩むというストーリーだそうです。 画家として認められて有頂天となったセラフィーヌがたどる狂った人生を知ればセラフィーヌの絵を見る目がまた違うのかもしれません。 私は映画は未見ですが、興味を持ったのはセラフィーヌが描いた油絵のVincent van Gogh(ゴッホ)の”Tournesols(ヒマワリ)”のように美しくも奇妙な色調の花々です。 教会のステンドグラスや宗教画に魅せられたセラフィーヌの絵は押さえた自然な色調を用いていますがトロピカル調のファブリックのように多色で細かく同じようなパターンが連なって描かれており、まるで版でも押して描いた宝石のように見えるのです。一見素人っぽいとも単純ともとれる絵ですが見飽きることがないのです。 フランスのNaïve Art(素朴派)のHenri Rousseau(アンリ・ルソー)の個展に携わった画商の目を惹きつけたのもさもありなんと思えるほど類似して非現実的な作風なのです。 その中で私が好きなのは1930年の作品で私は葡萄の木だと思ったのですが、有り得ない”Les Grappes de raisin(ぶどうの房のある花束)”という油絵です。 Séraphine - Les Grappes de raisin - oil-paintings.com.au 予告編が観られるオフィシャルサイトはSeraphine Official Site 日本のオフィシャルサイトはセラフィーヌの庭 Séraphine Louis (1864-1934) 映画のモデルとなったフランスの女流画家であるセラフィーヌ・ルイはSeraphine de Senlisとして知られているそうですが私は全く知りませんでしたので映画「セラフィーヌの庭」の公開は私にとって新たな画家を知る好機を得た思いです。 Séraphine Louis - YouTube Tweet
by koukinobaaba
| 2010-11-04 20:26
| 映画
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