日本では大人気でも海外又演奏するアーティストの本国ではさほどでもないのかと思われる曲は色々とあります。
なぜかというとレコードが販売されていないからです。日本では一度流行るとほぼ永久的に残るのです。 そして私みたいにオリジナル・バージョンにこだわる人もきっとたくさんいるでしょう。 今回探したハービー・マン(1930 – 2003)が演奏する”Comin' Home Baby(カミン・ホーム・ベイビー)”もそうなのです。 1960年代にBossa Novaと共に浮上したミュージシャンで”Comin' Home Baby”は盛り場ならどこに行っても流れている状態でした。ベースの長いイントロに続く耳を劈くようなフルートが印象的な曲です。 ♪ Herbie Mann - Comin' Home Baby (1961) - YouTube ”Comin' Home Baby”はハービー・マンがニューヨークのジャズクラブのVillage Gateで1961年に録音したもので、ハービー・マンの初ヒットとなりました。スーパースターとなったハービー・マンのこの”Comin' Home Baby”は当然日本にも上陸した次第です。 ブラジルの古典映画「Black Orpheus(黒いオルフェ)」に感動したハービー・マンはブラジル公演に出かけたのです。当然南米ではハービー・マンは無名でした。帰国してからはブラジリアン・ジャズのアルバムをリリースしました。 50年代にはサックスなども演奏したブルックリン出身のハービー・マンはこれ以降はフルートを演奏するジャズ・マンとしてユニークな存在でした。パーカッションのコンガをバンドに取り入れるなどジャズからブラジルのリズムへと移行し、ジャズとワールドミュージックを融合させたファンキーでソウルフルな演奏で一世を風靡しました。 ブラジルのミュージシャンであるセルジョ・メンデス(Sergio Mendes)やアントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Jobim)やギタリストのバーデン・パウエル(Baden Powell)などとレコーディングしてボサノヴァを普及させるのに一役かいました。 ボッサも廃った1970年代からはレゲエや中東や東欧の音楽にも挑戦したそうです。 ラテン・ファンキーといえばHorace Silver(ホレス・シルヴァー)が有名ですが、ハービー・マンは「Ritmo de la Noche/Rhythm of the Night: The Very Best of Latin Jazz」(ASIN: B00006AW9R)というコンピレーション・アルバムでホレス・シルヴァーの曲”Señor Blues”を収録しています。他にはHank Crawford(ハンク・クロフォード)の”Corazon”やStanley Turrentine(スタンリー・タレンタイン)の”Vera Cruz”やStan Getz(スタン・ゲッツ)の”Eu Vim Da Bahia”などラテンジャズを全16曲収録しています。 ♪試聴はRitmo De La Noche: The Very Best Of Latin Jazz - TowerRecords レコードはあるのですがPCで聴けるデジタル・オーディオを購入しようとした時にこの問題が起きたのです。 懐かしい”Comin' Home Baby”がない! 「Herbie Mann jzz:soul」も違う、「Super Mann/Yellow Fever Disc 2」なんてなんじゃい! タイトルが”Comin' Home Baby”でも違うバージョンばかりなのは、以上のことで常に新しいものに挑戦してるハービー・マンであるから1961年のライブ録音がいつまでもあるわけじゃないと悟りました。 それでも尚、私が郷愁をそそられるのはやはりあのバージョンなのです。 試聴を聞きまくったらありました。 オリジナル! Village Gate録音! Herbie Mann - At The Village Gate ハービー・マンのアルバム「At The Village Gate」には”Summertime”と”It Ain't Necessarily So”と共に収録されています。 演奏者はHerbie Mann (flute); Hagood Hardy (vibraphone); Ahmad Abdul-Malik, Ben Tucker (bass); Rudy Collins (drums); Ray Mantilla (conga drum, percussion); Chief Bey (African drum, percussion) ちなみに”Comin' Home Baby”は録音当時ベースを演奏していたBen Tucker(ベン・タッカー)が作曲したそうです。 ※もう1枚みつけたCDはAtlanticレーベルのアーティストを集めたコンピレーションアルバムで「Atlantic Jazz: Legends, Vol. 1」です。 ☆ベン・タッカーの曲にBob Dorough(ボブ・ドロー)が歌詞を付けてメル・トーメ(Mel Torm)が歌った”Comin' Home Baby”も大ヒットしました。 下記のリンクもメル・トーメのオリジナル・バージョンではありません。 Mel Torm - Comin' Home Baby - YouTube ハービー・マンはビバップのCharlie "Bird" Parker(チャーリー・パーカー)が1946年に作曲した”Yardbird Suite”を1950年代後期にSavoyレーベルからLPをリリースしていますが現在はCD化されてアルバムタイトルも「Yardbird Suite」がリリースされています。(ASIN: B0013A2LCQ) ♪ 国内盤の試聴はHerbie Mann - Yardbird Suite - CD Universe ☆私が持っているハービー・マンの33回転レコード (LP) Comin' Home Baby - Herbie Mann ATLANTIC SMJ-32 モダン・フルートのナンバーワンと呼ばれたハービー・マンの来日記念盤「ハービー・マン カミン・ホーム・ベビー」です。(1965年頃) 眼がねをかけたハービー・マンのレコード・ジャケットは珍しくてこれ以外には2枚しかありません。 六重奏団の演奏でA面にカミン、ホーム・ベビー(Comin' Home Baby)、そしてB面にワン・ノート・サンバ(One Note Samba)とイット・マスト・ビ・ラブ(It Must Be Love)が収録されています。B面の2曲はハービー・マンが2度目にブラジルに渡った1964年の現地のミュージシャンと共演した「リオの夜」というLPからだそうです。アントニオ・カルロス・ジョビム(Antonio Carlos Jobim)が作曲して初めて歌ったスキャット入りの”One Note Samba”は絶品です。インターネット上ではこのバージョンはなかなか見つかりません。 ブラジルのギタリストであるバーデン・パウエル(Baden Powell)とヴィニンアス・デ・モラエスの合作という”It Must Be Love”の方はリリカルな美しい曲です。 ※33回転レコードとはDurationはLP、Sizeが10"、Speedが33 rpmのレコードです。 45回転とはEP、7''、45です。 The Family of Mann ATLANTIC SMJ-22 「ファミリー・オブ・マン ハービー・マン」はA面にモーニン、B面にホワイ・ドント・ユー・ドゥー・ライトとジニアンを収録したレコードです。アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズ(Art Blakey and Jazz Messengers)の演奏で有名な”Moanin'”をラテン調にアレンジして、ディーブ・パイク(Dave Pike)のヴィヴラフォンやルディ・コリンズ(Rudy Collins)のラテンパーカッションが効いています。 ”Why Don't You Do Right”は”1943年にJoe McCoy(ジョー・マッコイ)が作曲しベニーグッドマン時代のPeggy Lee(ペギー・リー)が歌ってヒットした曲です。 ”Guinean”はハービー・マンのオリジナル曲で、イタリアの靴屋さん特性のフルートがエキゾチックなアフリカ組曲のうちの一つです。6人編成の演奏ですがディーブ・パイクのマリンバがブルース調で演奏されます。 ♪Moanin' - YouTube Mel Torm - Comin' Home Baby ATLANTIC JET-1263 マシュマロのようなソフトな歌声のメル・トーメは女性には特に人気があり、レイ・チャールズばりに歌ったこの”カミン・ホーム・ベビー”は大ヒットしました。 45回転のEPレコードの「メル・トーメのカミン・ホーム・ベビー」です。 B面には同じくハービー・マンのヒット曲であるライト・ナウ(Right Now)を収録しています。 I'm coming home baby I'm coming home now right away ... ☆ついでですが、私が所有しているトランペッターでアレンジャーとして有名なQuincy Jones(クィンシー・ジョーンズ)のアルバム「Attention! Quincy Jones」(Fontana PAT-18)ではLee MorganのSidewinderと共にハービー・マンのComing home babyをアレンジ(カバー)を収録している1970年代の国内盤アルバムがあります。(ポピュラーなヒット曲の編曲バージョンで名盤ではありませんがクィンシー・ジョーンズが初来日した1973年辺りのFontanaのLP盤のようです。) Memphis Underground ハービー・マンといえば”Comin' Home Baby”ですが、ジャズとR&Bを融合させたと通に人気がある1969年のアルバム「Memphis Underground(メンフィス・アンダーグラウンド)」はR&Bのミュージシャンたちがよく使用したというメンフィスのスタジオで録音されました。 Isaac Hayes(アイザック・ヘイズ)とDavid Porter(デヴィッド・ポーター)のコンビがソウル・マンのSam & Dave(サム&デイヴ)に作った”Hold On, I'm Comin'”、やAretha Franklin(アレサ・フランクリン)の”Chain of Fools”やGary U.S. Bonds(ゲイリー・U.S.ボンズ)の”New Orleans”などをカバーしています。 LPバージョンの試聴はMemphis Underground - hmv.co.jp Push Push 数あるハービー・マンのアルバムの中でジャケット画像が話題を呼んだといえば1971年のニューヨークのAtlantic Recording Studiosでのセッション・アルバム「Push Push」でしょうか。 タイトル名も何やら想像させますが、毛むくじゃらの上半身にフルートを肩に担いだ写真はその筋に注目されたかもしれません。(ハービー・マンがゲイという説はありません。) ロック・ギタリストのDuane AllmanをフィーチャーしたジャズアルバムですがR&B、ロック、ファンクをミックスさせた7曲を録音しました。 アルバム・タイトル曲の”Push Push”の他、アレサ・フランクリンの”Spirit In The Dark”やRay Charles(レイ・チャールス)の”What'd I Say”やMarvin Gaye(マーヴィン・ゲイ)の”What's Going On”やMichaels Jackson(マイケル・ジャクソン)が可愛いThe Jackson 5(ジャクソン・ファイヴ)の”Never Can Say Goodbye”などをカバーしています。 Tweet
by koukinobaaba
| 2009-04-30 21:41
| 音楽
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