日本未公開の制作年は1960年(1959年とも)のフランス映画に「聖者は踊る(Le Saint mène la danse)があります。
フランス語の題名は”セイントはダンスに行くとかダンス(のパートナー)をリードする”という意味らしく、英語のタイトルは”The Dance of Death”だそうですがどっちみち情報は多くはありません。 ※「聖者は踊る」とう邦題はレコードの解説に書かれてあったもので解説者の単なる意訳かもしれません。 監督はフランスのTVの怪盗ルパン・シリーズの脚本を手掛けた エジプト出身のJacques Nahum(ジャック・ナウム)だそうで、レスリー・チャータリス(Leslie Charteris)の短篇を参考にを映画化したそうです。 映画の題名の聖者とはセイント、つまり1962年から放映されて人気のあったTVシリーズのサイモン・テンプラーのことなのです。こちらのサイモンはアルセーヌ・ルパンのような大怪盗(義賊)です。 日本でも1965年から日本テレビで後の007ジェームス・ボンドのロジャー・ムーア(Roger Moore)が"Simon Templar"(サイモン・テンプラー)を演じた白黒版シリーズの「The Saint」が放映されました。邦題は「テンプラーの華麗な冒険」だったか、「セイント 天国野郎」だったか。 しかしこの映画「聖者は踊る」はシリーズではなく単発のフランス版サイモン・テンプラーです。 中国系マレー人(シンガポール)の医師を父に持ちイギリスで教育を受けたレスリー・チャータリスはアメリカに帰化した推理小説家で1928年から「サイモン・テンプラー」のシリーズを書いて有名です。 出演者 サイモン・テンプラー(Simon Templar)をFélix Marten(フェリックス・マルテン) ダニー(Dany)をミシェール・メルシェ(Michèle Mercier) Fred Pellmann(フレッド・ペルマン)をJean Desailly(ジャン・ドザイー) NormaにFrançoise Brion(フランソワーズ・ブリオン) 1919年にドイツで生まれた俳優で歌手のフェリックス・マルテンの映画は全部日本未公開ですが、ジャン・ドザイーの方は1961年の「素晴らしき恋人たち」や1962年の「新7つの大罪」など15本ほどが公開されています。 一方、フランソワーズ・ブリオンは1959年の「唇によだれ」、「彼奴を殺せ」、「パリジェンヌ」から1970年の「雨のエトランゼ」など有名なフランス映画に出演しています。 Michele Mercier フランスのニース出身のグラマーなミシェール・メルシェは1960年にシャルル・アズナヴールが主演した「ピアニストを撃て」に娼婦のクラリス役や、1967年には「愛すべき女・女たち(めめ)(Le plus vieux métier du monde)」などに出演しましたが、なんといっても17世紀を舞台にした時代劇で1964年からのシリーズ「アンジェリク(Angélique)」で名を馳せ、一時はブリジット・バルドーに並ぶフランスの人気女優でした。しかし60年代のアンジェリクのイメージを払拭できず、結婚の失敗やイタリアのプリンスとの恋愛スキャンダルも暴露されたため、アメリカに渡って蒔き直しを計ったものの失敗に終りました。女優であるとともに歌手としても有名だそうで映画では何度か歌っているもののミシェール・メルシェのアルバムは見つかりません。 「男はみんな私にギルダを求める」と言ったリタ・ヘイワースのように、付きまとうアンジェリカの亡霊に悩まされたミシェール・メルシェも2002年に「私はアンジェリカじゃない!」という自伝(暴露本)を出版したそうです。 レコードはもう見つかりませんが、セルジュ・ゲンズブールの3枚組みコンピレーション・アルバム「Le cinéma de Serge Gainsbourg」に収録されているそうです。 Michele Mercier - "Six-Huit" Michele Mercier - Je ne suis pas Angélique - YouTube Sexy Michele Mercier Photos - YouTube 映画「聖者は踊る(Le Saint mène la danse)」は田舎にある気味の悪い館と草ぼうぼうの荒れ果てた墓地を舞台に繰り広げられるミステリーです。 妖婦的なグラマー美人のダニーなど3人の女と奇妙な風体の二人の召使と共に住んでいたアメリカ人でハンサムな大富豪のプレイボーイは脅迫状を受け取り、命を脅かされたため身の安全を図ってサイモン・テンプラーを雇うことにします。このハンサムは1年前にアメリカで警察のギャングの逮捕に協力した過去があるそうです。 屋敷内では番犬が毒殺されたり、お抱え運転手はモーターが動きっぱなしの車の扇風機の羽に頭を突っ込まれていたり、得体の知れない殺し屋が闇夜に徘徊するといった恐ろしいことが次ぎ次ぐぎと起こります。教会の墓地にセメントで埋められてしまったた我らがサイモン・テンプラーはいかに。。。といった怖いストーリーだそうです。 ※2008年に再リリースされたDVDはアメリカで「The Dance Of Death」として発売されているそうです。(ASIN: B001LNOLF0) フォーマットはオール・リージョンで$8.99です。 「聖者は踊る」の映画情報とフェリックス・マルテンの写真が見られるFelix Marten as Simon Templar - Saint.org The Saint and Leslie Charteris Blog - Saint.org 「大運河」でMJQ、1958年にフェリックス・マルテンもChristian Subervie役でちょっと出演している「死刑台のエレベーター(Ascenseur pour l'échafaud)」ではマイルス・デイヴィス、「危険な関係」や「殺られる」ではアート・ブレイキーと、1950年代後期から始まったフランス映画のジャズ・サウンドトラックにあやかってか、この「聖者は踊る」でもPaul Durand(ポール・デュラン)作曲のちょっぴりジャジーなサントラになっています。 ポール・デュランは「女は一回勝負する」、「幸福への招待」、「水色の夜会服」、「禁断の木の実」といった1950年代のフランス映画の音楽を手掛けました。 Le Saint Mene La Danse Soundtrack Fontana FON - 1008 Le Saint Mene La Danse Theme & Cha Cha De Cullera by Michel de Villes 私が持っている「Le Saint Mene La Danse」のEP盤サントラです。映画は公開されなくともジャズ調の映画音楽としてサントラがリリースされました。 演奏はミシェル・ド・ヴィル楽団(Orchestre Michel de Villes)です。(”Michel Ville et son Orchestre”とうサイトは存在しますが別ものらしい。) A面は映画のテーマ曲である”恐怖のテーマ(Le Saint Mene La Danse)”です。ドラムとビブラフォンのイントロからトランペット、そしてテナーサックスのソロへと移りますがメロディーはフレーズの繰り返しが多いスローな曲です。 B面はクレラのチャ・チャ - Cha Cha De Cullera 当時マンボの後に流行したチャチャチャのリズム。 フランスでは歌手としての方が有名なフェリックス・マルテンの歌、全40曲を収録した2枚組みのアルバムです。試聴してみて下さい。(最初の曲をクリックすると順に聴けます。) ♪La Marie Vison - Amazon.fr Tweet
by koukinobaaba
| 2009-04-26 17:22
| 映画
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