ゲーム The Game (1997)

サスペンス映画「ゲーム」は脚本をJohn D. Brancato(ジョン・D・ブランカトー)& Michael Ferris(マイケル・フェリス)のコンビが手掛け、1995年サスペンス映画「Se7en(セブン)」を監督したデヴィッド・フィンチャー(David Fincher)が監督しました。

登場人物は主人公の実業家のニコラス(ニッキー)にマイケル・ダグラス(Michael Douglas)、その弟のコンラッドにショーン・ペン(Sean Penn)、ウエイトレス(CRS社社員)のクリスティーンにはデボラ・カーラ・アンガー(Deborah Kara Unger)、そして驚くことに 家政婦のイルサに1956年にはBaby Doll(ベビイドール)だったキャロル・ベイカー(Carroll Baker)が出演しているのです。
 
現実と虚構に翻弄される中年男の物語ですが、主人公同様に映画を観る人も狂いそうになるのです。(どうなるんだ!)誕生日のはずだから一日のうちに起こった出来事かと思ったり、恐ろしいゲームが始まれば何日のことだかまるで分らなくなってしまうのです。

ニコラスが参加したゲームはニコラスのこれまでの人生のキーポイントに的をしぼり、実生活と一体化したロール・プレイング・ゲームなのですが、じきに際限のないニコラスへの襲撃となるのです。そしてそのゲームの支配下に置かれたニコラスはこれまでの統制のとれた生活が無残にも崩壊していくのを体験するはめになります。

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映画「ゲーム」の冒頭は回想画面、誕生日のパーティを後に一人歩く男、これがニコラスの父。父と少年のニコラスなどがフラッシュバックします。
The Game (1997) - YouTube
 
時は経ち、家族を省みずに実業家で大成功したニコラスは妻とも別れてしまい豪邸での一人暮らしです。今日、10月11日はニコラスの48歳の誕生日、ニコラスの父親が飛び降り自殺した時と同じ年齢なのです。これだけでも何かがありそう。

疎遠になっていた放蕩者の弟のコンラッドが昼飯時に誕生祝いにやってきた。コンラッドからのプレゼントはCRS社(Consumer Recreation Services)主催の“ゲーム”の招待状です。おまけにレストランの従業員によるハッピーバースディの斉唱には嬉し恥ずかしのニコラスでした。

父の死が頭から離れないニコラスは「人生が一変するような素晴らしい体験ができる」に惹かれてコンラッドからのプレゼント、CRS社のゲームに参加することを決めて、オフィスを訪ねたのです。社員による面接、ペーパーテストに心理テストなど一日がかりの健康診断を受けた翌日のこと、ニコラスは重要な会議中にCRS社より電話が入った。テストの結果は失格。
負けを知らぬニコラスにとっては屈辱的な言葉。不合格!
しかし、この時すでにもうゲームが始まっていることを確信するニコラスです。「これはゲームだ」
ニコラスが帰宅すると庭に飛び降り死体を発見、こわごわ表に返して顔を見るとなんとそれは人間ではなくピエロの人形だったのです。居間に運び込んだ人形の口から出てきたのは鍵。

人形の口にナイフを差し込むとそれまでしゃべっていたテレビの人物がゲームの始まりを告げる。ギョっとしたその次には自分がテレビに映し出されたのです。

ニコラスがいったいどれがゲームなのか懐疑的になってきたある日のこと、空港ロビーで隣に座っていた男が立ち去る時に置いていったピエロの人形付きの鍵を見つける。それに手を伸ばそうととすると乳母車をひいた女性がが持ち去ってしまう。ふと前方に目をやると男がじっと見つめているのに気が付いたニコラスは「なにか?」と尋ねる。男が指差すところは自分の胸、胸ポケットのペンからインクが漏れていた。 「なんだ。」

父の旧友であるビジネス仲間とやりとりの最中にアタッシュを開けようとしたが鍵がないなど、度重なるトラブルに大分頭に来ているニコラスなのに、レストランでクリスティーヌというウエイトレスが盆をひっくり返してシャツがメチャクチャ。切れまくりのニコラスだがボーイがテーブルに置いていった請求書には「女を引き止めろ」とメモしてある。粗相をしたとクビになったウエイトレスを追うとなんと目の前でひき逃げに遭遇。
クリスティーヌと一緒に救急車で病院へ同行したのだが、目的地に到着すると駐車場のライトが突然落ちる。そこでこれは「ゲーム」だと気付くニコラスだった。
廃墟同然のエレベータに乗ると動かない。ふと思い出したピエロの口から出てきたあの鍵を差し込んでみたら動いた。しかし突然止まる。まるで「死刑台のエレベータ」もどきの脱出で二人ともロープづたいにやっとこさで外に出られた。そこで気が付いた。「おい、ちょいと待った、ここはCRS社じゃないか」
ビル内のセキュリティレーザーにひっかかり突如サイレンが鳴り響く。CRS社の警備員に見つかったがやっと逃げきってニコラスのオフィスに戻ってきた。ごみために落ちた二人は汚れているのでクリスティーヌはシャワーも浴びるといって大胆にもシャツ脱いだのだ。誘惑する気ではない。別れ際にクリスティーヌが暴露したのはある人物が冗談でニコラスにドリンクをかけるように言ったこと。

ニコラスはホテルに戻ると失ったはずの部屋の鍵が不思議なことにポケットに入っている。部屋に戻ると、なんてこったの大音響でポルノビデオが映し出され、テーブルやアタッシュに怪しげな写真がいっぱい。中にはどうやら昨夜のクリスティーヌらしき下着姿の上半身の写真もある。

家に戻ればコンセントはブレークして真っ暗。突然音楽が鳴り響き、ビックリファンハウスのよう。居間に行くとピエロがメモをくわえている。「私の目の前で父がしたように永遠のジャンプを・・・」

なぜか突然車がパンクしたのでニコラスはタクシーを拾って「ブロードウエイ」と運転手に伝えたが道が違うことに気付いた。ドアを開けようにも開かない。スタントカーまがいの運転に命の危険を感じ「俺は金持ちだ、支払うから ・・・」と必死で交渉するも無視して暴走するタクシー。おかしなことに急に運転手は走っている車から飛び降りてしまう。当然のようにタクシーは川に突っ込む。ドッボーン!
ブクブル沈みながらもニコラスは「これはゲームだ」と自分に言い聞かせる。ドアを探るとなんとドアに取っ手がない!思い出してポケットを探ると以前不意に現れたあの取っ手がある。九死に一生の思いで脱出成功。

救済を装ったビジネス仲間の手中に落ちてニコラスは破産したらしい。クリスティーヌの入れたコーヒーで意識が朦朧としてくるニコラス。
息苦しくて目が覚めるとなんとニコラスは棺おけに入れられていることに気が付く。箱から這い出てみればそこは墓場。
エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe)が1844年に書いた小説じゃないが、危うく「早すぎた埋葬(The Premature Burial)」になるところだった。
いったいここはどこなんだ? メキシコ!
ニコラスは腕時計を売った金でようやくサンフランシスコまで帰ることができた。と喜ぶのもつかの間、邸宅には競売のの張り紙が。知ったことか!と勝手知ったる我が家に窓を破って入り込み、狂ったようにシャワーを浴びる。

弟も助けにならないと分ったニコラスは離婚した妻に助けを求めようと訪ね、過去を詫びてみたが、元妻は既に幸せな結婚をし、今は2人目の子供を出産するところだったのだ。
その時偶然に店のテレビにCRS社の男の顔を見た。なんだ、あいつは俳優だったのか。男を捜しだした狂気のニコラスは銃を突きつけて言う「俺は危険な男」だ!いまや復讐の鬼と化したニコラス。ついに反撃に出る。
CRS社の社員らしき俳優を脅して高層ビルにあるCRS社に乗り込むと大勢の社員の中にあのクリスティーヌがいた。そこで突然SOFだかSATだかのような警備員たちが襲撃してきたのでクリスティーヌを連れてニコラスは屋上に逃げる。屋上を閉鎖してクリスティーヌに銃を突きつけ説明を求めると「これは全部ゲーム、ニコラスが手にするどんな武器も摩り替えてある」とニコラスに説明したのです。錠をかけた屋上への扉がバーナーで焼ききられついに開かれた!一瞬の閃光、思わず夢中で発砲するニコラス。 ん?
なんと扉の向こうにはニコラスの誕生日のためにシャンパンを手にして正装したコンラッドが倒れ、真っ白のタキシードの胸からは真っ赤な血が流れ出ているのです。
「彼は死んだ・・・」と社員が言うのを聴いて、自責の念にかられたニコラスは夢遊病者のように高層ビルから飛び降りてしまうのです。まるで泳ぐように落ちながら父の死を回想し、ニコラスは次々とガラス天井を突き破っていったのでした。

☆これでストーリーが終わったのではありません。ラストはあっと驚く仕掛けになっています。
日本では1982年の「蒲田行進曲」、フランスでは1984年の「私生活のない女(La Femme Publique)」、アメリカでは1995年の「ゲット・ショーティ(Get Shorty)で驚いたよりももっと驚く!
The Game (1997) Trailer - CommeAuCinema.coml

映画「ゲーム」の音楽はハワード・ショア(Howard Shore)ですが、トレーラーやエンディング・クレジットにはジェファーソン・エアプレイン(Jefferson Airplane)のホワイト・ラビット(White Rabbit)が流れる他、ドビッシー(Claude Debussy)が作曲した月の光(Clair De Lune)やマシュー・スイート(Matthew Sweet)の”Hollow”も使用されています。

Jefferson Airplane - White Rabbit (1969) - YouTube

※主人公の人生観の変化を描いた点ではクリスマス・キャロルのスクルージを思い浮かべましたが、最初に「ゲーム」と知らせていなければもっともっと怖い思いで観たことでしょう。
それにしてもこのゲームの代金はいったいいくらになったのでしょうか。ラストシーンで弟のコンラッドが請求書にサインする金額を見たニコラスが「オ・マイゴッド!」と言って折半を申し出ましたが金額は不明です。まさに悪夢のようなゲームでした。

「ゲーム」を監督したデヴィッド・フィンチャーは1995年の「SE7EN(セブン)」と同じくBrad Pitt(ブラッド・ピット)を主役にして2008年に「The Curious Case of Benjamin Baton(ベンジャミン・バトン 数奇な人生) 」を監督します。 原作は「ギャツビー」のF. Scott Fitzgerald(フィッツ・ジェラルド)が1921年に書いた短編で、ヒロインを演じるのは「Bandits(バンディッツ)」のCate Blanchett(ケイト・ブランシェット)です。



※映画とは関係ありませんがエドガー・アラン・ポーの「早すぎた埋葬」が読める青空文庫
Edgar Allan Poe - The Premature Burial - online-literature.com


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by koukinobaaba | 2008-10-07 00:44 | 映画
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