花様年華 In The Mood For Love (2000)

一世を風靡したお茶の間の人気者”ヨン様”ことペ・ヨンジュンが出演した「冬のソナタ」どころか、韓国映画にはまるで縁のなかった私ですが、中国系の映画は陳凱歌(チェン・カイコー)監督の「さらば、わが愛/覇王別姫(Farewell My Concubine)」や、周暁文(チョウ・シャオウェン)監督の「麻花売りの女」など以前から度々観る機会に恵まれました。

「花様年華」は上海出身の王家衛(Wong Kar-wai 又はKar Wai Wong)が監督した2000年の香港映画です。

in the Mood for Love ~花様年華
b0002123_23172193.jpg

中国語の題名は「花様年華(かようねんか)Fa yeung nin wa」ですが英語では”In The Mood For Love”だそうです。同じ階に住むチャウ氏(Chow)とチャン夫人(Mrs. Chan)のロマンスがテーマとなっています。
チャウ氏にはトニー・レオン(Tony Leung、梁朝偉、Leung Chiu Wai)
チャン夫人にはマギー・チャン(Maggie Cheung、張曼玉、Cheung Man-Yuk)
※マギー・チャンはトニー・レオンが主演した「花様年華」の続編といわれる2004年の「2046」にも特別出演しています。
☆花様年華の続きは香港女優のZhang Ziyi(チャン・ツィイー)が売春婦役でトニー・レオンと共演した「「2046 」で。

※「花様年華」やアン・リー(Ang Lee)が監督した2007年の「ラスト、コーション(Lust, Caution、色・戒、Se, jie)」などでのトニー・レオンは、手前味噌になりますが私の亡き父に似ているのです。(いや、逆ですね) いや、トニーのお尻じゃないですよ。顔、顔のことです。


「花様年華」では毎シーンごとにマギー・チャンが着る異なった綺麗でエレガントなドレスと、時刻を刻む時計と、チャウ氏の吸う煙草の紫煙と、いく度となく降りしきる雨が印象的な映画です。あっ、それと料理の苦手なチャン夫人がラーメンを買いに行く時に持参する細長いジャーも。

1962年の香港を舞台に 家探しの男女が偶然隣り合わせに部屋を借りることになり、偶然にも引越しが同じ日だったことから、当然荷物の取り違えも起きたりします。アパートの階段は二人がすれ違うには狭過ぎだし、と、そんなこともあり二人は次第に昵懇となっていくのです。

会社の秘書をしているチャン夫人はいつも商用で不在勝ちの日本人の夫を持ち、新聞記者のチャウ氏は帰宅が遅い会社勤めの妻がいます。映画では両名の伴侶は声だけで姿をいっさい見せません。
お互いの連れ合いが不在であることに加え、お互いの連れ合いからのプレゼントがそれぞれの持っている品と同じものであることも分かります。つまりチャウ氏の妻が持っているバッグとチャン夫人が夫からプレゼントされたバッグが同じ品で、チャウ氏が妻から貰ったネクタイとチャン夫人の夫が身に付けているネクタイが同じなのです。そして同じ時期に彼らが出張するのです。実に奇妙な偶然の一致を知ってしまった二人でした。

ラストにチャン夫人が子供連れだということで二人の秘密が辛うじて仄めかされている以外はさしたるラブシーンもなく、チャン氏が「今夜どう?」とか「結婚していなかったら?今より幸せだったかも」とか「今夜は帰りたくない」なんていう会話のやりとりだけで進行します。が、かなりエロティックであります。昭和初期の松竹映画などを思い起こします。

お互いの連れ合いのつもりで二人で行う会話のシュミレーションがなにやら無意味で、単に会うための口実づくりなのか、次第に二人の関係を近づけています。
そうこうするうちに仕事でシンガポールに行くことになったチャウ氏、今度は別れのリハーサル。

チャウ氏の待っているホテル(たぶん)に電話して駆けつけるチャン夫人ですが、その部屋のドアには「2046」という番号が。2004年のウォン・カーウァイ監督の映画で使用される予定の題名と同じです。それと、チャウ氏ラジオ番組ののリクエストで妻に送った曲がIn the Mood for Loveだったような。

「花様年華」では舞台が1962年の香港から1963年シンガポールへと、そして全てが変った1966年香港に戻り、最期は1966年のカンボジア、そこで寺院の木のウロに”秘密を埋めたチャウ氏でした。
「王様の耳はロバの耳!」と言ったのではありません。

☆ルンバ・バージョンの”I'm in the Mood for Love”が流れる「In The Mood for Love(花様年華)」の予告編はIn The Mood for Love - Videodetective

「花様年華」の音楽はウォン・カーウァイ監督作品ではお馴染みで本作では夢二のテーマ(Yumeji's Theme)を作曲している梅林茂とマイク・ガラッソ(Michael Galasso)ですが、映画のなかでは二人の逢瀬の場面でナット・キング・コール(Nat 'King' Cole)の甘いラブソングがいくつか使用されています。
チャウ氏が「シンガポールに一緒に来るか?」と電話してきた時に流れた曲はチャン夫人の返事を代弁するようなナット・キング・コールのキサス、キサス、キサス(Quizas, Quizas, Quizas)が流れました。
その他に緑の瞳(Aquellos Ojos Verdes)、月光の魔術(Te Quiero Dijiste)などが使用されています。

In The Mood For Love (2000 Film) Soundtrack
b0002123_23213883.jpg

In The Mood For Love Trailer - YouTube
Umebayashi Shigeru - Yumeji's Theme - YouTube
Nat 'King' Cole - Aquellos Ojos Verdes - YouTube
Nat 'King' Cole - Te Quiero Dijiste - YouTube
Nat 'King' Cole - Quizas, Quizas, Quizas - YouTube

☆チャン夫人を演じたマギー・チャンが着用していたような旗袍(qípáo )とかCheongsamとか呼ばれる支那服(チャイナドレス)が見られるQipao / Cheongsam Pictures
チャン夫人役のマギー・チャンが着ていたのはもっとエレガントですが、映画では「ラーメンを買いに行くのにあんなに着飾って!」とご近所で噂となりました。

※ついでに映画のタイトルの「花様年華」ですが、は「花様」は”花盛り”なので”華やかな時期”という意味のようです。
ちなみに中国ではシンクロナイズドスイミング(synchronized swimming)は「花様遊泳」で、「花樣滑冰」ならばフィギュアスケートだそうです。 綺麗な中国語です。



[PR]
by koukinobaaba | 2008-08-31 22:16 | 映画
<< スイング音楽のラジオ番組 Ch... ルーファス・トーマス Rufu... >>