ダニー・ガットン Danny Gatton

Danny Gatton (1945 – 1994)
世界で最高の無名なギタリストと呼ばれた偉大なテレキャスター・マスター(ブルースギター奏者)のRoy Buchanan(ロイブキャナン)だそうですが、世界で誰にも真似できないテクニックの持ち主で、世界一知られていないギター・プレイヤーとはダニー・ガットンのことだそうです。

ロカビリーやロックをはじめ、カントリー、ブルース、ジャズなど多岐に渡るジャンルで機関銃をぶっぱなすごとく超早弾きのギタリストとして1980年代を中心に活動したDGことダニー・ガットンは2003年にあの有名なRolling Stone誌の”Rolling Stone magazine's 100 Greatest Guitarists of all Time in 2003”に入るほどのギターの腕前だったそうです。
ロッカーなのか、ブルース・マンなのか、ジャズ・マンなのか。 それが問題だ。
1975年に発表した最初のアルバムのタイトルが「American Music」だからアメリカの音楽なら何でも! ギター芸人。
ダニー・ガットンは歌わない。口を結んでひたすら弾きまくる。
こんなプレイができるかい?と世のギター弾きたちに自慢してるかのように。 どや顔。

ダニー・ガットンの父親も特異な奏法のギタリストだったそうですが家族の生活のために音楽をあきらめたのだとか。 ダニー・ガットンはそんな父親のギターへの情熱を受け継いだのでしょう。
たいていは53年製フェンダーのテレキャスターを演奏したダニー・ガットンはスライド・ギターの巨匠という意味の”Telemaster”と呼ばれたそうです。
スライドギターにギタリストが使用するボトルネックは指にはめる硝子やスチール製が多いようですがその昔はまさにそのまんまのビンの首部分を利用したとか。
小型ナイフも使用したと云われるMississippi Fred McDowell(ミシシッピ・フレッド・マクダウェル)
ダニー・ガットンはごく普通にジャズ・ギター用の涙型ピックを使用してギターを演奏しましたが、スライダー(スライドバ)ーとしてビール瓶やビールが入ったままのジョッキを使用することがあったそうです。(稀には鎮痛剤の筒容器、長めの真空管、頭蓋骨?)
「喉が渇いた。」なんてビール瓶を開けてグィッと飲み、ボトルネック代わりに中身が入ったビールのボトルをスライドさせて演奏したのは聴衆へのサービス・パーフォーマンスなんでしょうか、それともアル中なのか。(アルコールと鎮痛剤の飲み合わせは危険) ビールが泡吹いてこぼれてもおかまいなし、いやタオルで拭き取る。拭き取りながらも曲芸演奏。 アンビリーヴァブル!
下記のリンクで”Boogie Woogie Boogie”を歌っているのはBilly Windsor(ビリー・ウィンザー)らしいです。
Danny Gatton Sliding with Beer bottle & Towel - YouTube


☆上記にリンクしたダニー・ガットンがギターで演奏する”Sleepwalk”は1959年にインストルメンタル・デュオのSanto & Johnny(サント&ジョニー)兄弟が作曲ししたチールギター演奏の”Sleep Walk(スリープウォーク)”がオリジナルです。
サントとジョニーが”スリープウォーク”をリリースした後すぐにカバーしたThe Ventures(ヴェンチャーズ)や、The Stray Cats(ストレイ・キャッツ)のボーカルだったBrian Setzer(ブライアン・セッツァー)などのエレキギター演奏の他、Paul Mauriat(ポール・モーリア)やHenri Rene(アンリ・レネ)などのオーケストラ演奏や、ウクレレのJake Shimabukuro(ジェイク・シマブクロ)もカバーしている人気曲です。
☆その下の”Melancholy Serenade(メランコリー・セレナーデ)”は1955年のTVコメディ番組の「Honeymooners」のためにJackie Gleason(ジャッキー・グリーソン)が作曲したとして使用して以来、自分のTV番組のテーマ曲としていました。
とはいえ、この曲は1936年の映画「Here Comes Carter」で劇中にAnne Nagel(アン・ネイジェル)がラジオ放送で歌ったM.K. Jerome作曲Jack Scholl作詞の”Thru the Courtesy of Love”が先だったかも。
ボードビルのピアノ弾きから映画館の伴奏者となったM.K. Jerome(エム・ケー・ジェローム)はワーナー映画と契約して約20年間映画音楽を手掛けるようになり、Jack Scholl(ジャック・スコール)と組んで”Thru the Courtesy of Love”や”You on My Mind”をはじめ1942年の「Casablanca(カサブランカ)」でDooley Wilson(ドゥーリー・ウィルソン)が演奏したアップテンポの”Knock on Wood”などを作ったそうです。
”Melancholy Serenade”はジャッキー・グリーソン楽団の演奏以外に、1959年にConnie Francis(コニー・フランシス)のボーカル・ヴァージョンやKing Curtis(キング・カーティス)のテナーサックス演奏も有名です。


ダニー・ガットンはカントリーのWillie Nelson(ウィリー・ネルソン)やブルースのEric Clapton(エリック・クラプトン)なども賞賛した腕前のギタリスト、それなのに、何でもこなす器用貧乏が災いしたか、ギターをかかえた芸人のようであまり一般には知られていないのが不思議です。
1970年代の中頃、30歳でレコード・デビューして7~8枚ほどのアルバムをリリースしたダニー・ガットンでしたがオリジナルがなく遂に1994年の秋、50歳を前にして拳銃自殺を遂げたのでした。長年にわたり抑鬱状態と回復を繰り返していたようでしたが何の書置きも残していなかったそうです。遺作となったアルバムはダブルネック・ギターで演奏したメルティング・ポット的な「In Concert 9/9/94」

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Ralph Heibutzki著のバイオグラフィーとディスコグラフィーを記した「Unfinished Business: The Life and Times of Danny Gatton」が2003年に出版されています。
英語のペーパーバックですが中身が見られるUnfinished Business: The Life and Times of Danny Gatton - Amazon.co.jp
※ダニー・ガットンとTom Principato(トム・プリンシペイト)が1984年にTV出演したスタジオ映像を収録したDVD「Tom Principato and Danny Gatton: Blazing Telecasters (2003)」(ASIN: B00008G90L)が2003年にリリースされています。元ギタリストだったダニーの父親の葬儀のすぐ後だから気合が入ったダニー・ガットンは緑のHeineken(ハイネケン・ビール)の空瓶でブルースを奏でます。
曲目はHoney Hush (Talkin' Woman)、Blue Mood、Quiet Village、Cherokeeなど6曲。
Danny Gatton & Tom Principato - Blazing Telecasters - YouTube

Danny Gatton "Danny and the Fatboys - American Music"
私が初めてダニー・ガットンのギター演奏を聴たのは、日本ではSam Taylor(サム・テイラー)のテナーサックス演奏で知られた”Harlem Nocturne(ハーレム・ノクターン)”やHerbie Mann(ハービー・マン)のフルート演奏で有名な”Comin' Home, Baby”でした。
※”ハーレム・ノクターン”が収録されている1975年のアルバム「American Music」の詳細はThe Definitive Danny Gatton Web Site
ダニー・ガットンの各アルバムから何曲ずつかが試聴できるページはオフィシャルサイトのDanny Gatton Web Site - Audio & Video
Telecaster Archives - DannyGatton.info

Danny Gatton - Harlem Nocturne - YouTube
Danny Gatton - After Hours - YouTube
Danny Gatton - Opus De Funk - YouTube

上記のリンクはダニー・ガットンがギターで演奏する有名なジャズ曲で、上の2曲は1975年のアルバムの「American Music」に収録されています。
”Harlem Nocturne(ハーレムノクターン)”はテレビシリーズの「私立探偵マイク・ハマー」のテーマとして有名になり、日本ではSam Taylor(サム・テイラー)のテナーサックス演奏で知られています。
”After Hours”はErskine Hawkins(アースキン・ホーキンス)が1940年に録音したスタンダード曲ですがピアニストのRay Bryant(レイ・ブライアント)の演奏が有名です。
ダニー・ガットンの先輩でテレキャスのパイオニアと呼ばれたブルースマンのRoy Buchanan(ロイ・ブキャナン)が1973年のアルバム「Second Album」に収録しています。ダニー・ガットンのバージョンでもピアノがキーボード奏者のDick Heintze(ディック・ヘインツ)です。
”Opus De Funk”は1978年の自主製作のアルバム「Redneck Jazz Explosion Vol. I」に”Killer Joe”や”Comin' Home Baby”等と共に収録されていますが、「American Music」CDのボーナストラックにも収録されました。 オリジナルはバップ・ピアニストのHorace Silver(ホレス・シルヴァー)の作曲です。


88 Elmira St.
1991年のアルバム「88 Elmira St.」(ASIN: B000002H8T)ではタイトル曲をはじめ、Funky Mamaや”The Simpsons Theme”や”In My Room”を除く8曲はダニー・ガットンが作曲したオリジナルです。
アルバムの試聴は88 Elmira Street - Amazon.com
Danny Gatton - Funky Mama - YouTube

1988, Club Soda in DC
Danny Gatton - Good Rockin at Midnight - YouTube
Danny Gatton - The Blues (Guitar Techniques)- YouTube



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by koukinobaaba | 2011-08-30 18:26 | 音楽
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