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僕の彼女はどこ? Five Foot Two, Eyes of Blue

Has Anybody Seen My Gal?
1920年代のポピュラーソングにピアニストでTin Pan Alleyの人気ソングライターだったRay Henderson(レイ・ヘンダーソン)が作曲し、ユダヤ系アメリカ人の歌手で作詞家のSam M. Lewis(サム・M・ルイス)とJoseph Widow Youngのコンビが歌詞を書いた”Has Anybody Seen My Gal?”という曲があったそうです。 曲の作曲者などについては当時のレコーディング事情もあり他説があり、歌詞も多少変更されたことがあったとか。

”Bye Bye Blackbird”の作者でもあるレイ・ヘンダーソンはLew Brown(リュー・ブラウン)とのコンビでジャズのスタンダード曲でとなった”The Thrill Is Gone”も作りました。
”I'm in your arms and you are kissing me...”とCarmen McRae(カーメン・マクレエ)やSarah Vaughan(サラ・ヴォーン)やJulie London(ジュリー・ロンドン)といった女性ボーカリストたちがしっとりと歌っています。

”Has Anybody Seen My Gal?”を最初に吹き込んだのは20年代にジャズを多数レコーディングしたThe California Ramblersというビッグバンドの先達だったそうで、当時の楽団員には Red Nichols(レッド・ニコラス)やJimmy Dorsey & Tommy Dorsey(ジミーとトミーのドーシー兄弟)が在籍していたそうです。

この”Has Anybody Seen My Gal?”という曲は第二次世界大戦中でも人気でしたが、その出だしの歌詞から”Five Foot Two, Eyes of Blue”とも呼ばれたそうです。 158.5cmくらいの均整のとれたスタイルで青い目”という意味らしいです。
召集されて戦場に送り込まれ、ようやく祖国に戻れた帰還兵が尋ねているのでしょうか、「スラリと背が高くて青い目をした僕の彼女を知らないかい?」

日本未公開でしたが1952年の「Has Anybody Seen My Gal(僕の彼女はどこ?)」とう映画を「悲しみは空の彼方に」で有名なDouglas Sirk(ダグラス・サーク)が監督してレイ・ヘンダーソン作曲の”Five Foot Two, Eyes of Blue”が学生コーラスでサウンドトラックに使用されました。 遺産を亡き昔の恋人の家族に贈ろうとしてその夫が経営しているドラッグストアで働くことにしたCharles Coburn(チャールズ・キバーン)が演じる大富豪のお話です。この映画では、Rock Hudson(ロック・ハドソン)がPiper Laurie(パイパー・ローリー)が演じる店の娘と恋仲の貧しい店員役で出演したのですが、なんと無名時代のJames Dean(ジェームス・ディーン)が赤い蝶ネクタイでヒロインの父親が経営するドラッグストアにいる若者としてチラリと登場したそうです。 映画では”Five Foot Two, Eyes of Blue”が学生コーラスで歌われました。
ちなみにトニー・カーティスやロック・ハドソンと組んで軽快なロマコメに出演していたパイパー・ローリーはこの後1961年の「The Hustler(ハスラー)」でシリアスな役を演じイメチェンしました。そして65歳の時ロバート・ロドリゲスが監督したSF学園ものの「パラサイト」で寄生虫のようなエイリアンに身体を乗っ取られる高校教師を演じました。

原題の”Has Anybody Seen My Gal?”ではロシア系のアメリカ女優のMilla Jovovich(ミラ・ジョヴォヴィッチ)も歌っていますがウクレレの伴奏でした。 この曲はコード進行がF-A7-D7-G7-C7-F-C7の繰り返しと単純なせいかウクレレで弾きやすいようです。(リズムはスキップのように跳ねるシャッフルだとか。)

”Five Foot Two, Eyes of Blue”としてはMitch Miller(ミッチ・ミラー)などがカバーしましたが、”Five Foot Two, Eyes of Blue”としてはボーカルで1927年に”My Blue Heaven(私の青空)”が大ヒットした初代クルーナーと呼ばれるGene Austin(ジーン・オースティン)やBing Crosby(ビング・クロスビー)からジャズ歌手のLouis Prima(ルイ・プリマ)やDean Martin(ディーン・マーティン)などが歌っています。
ポップスとしてもイギリスのロックバンドのThe Viscounts(ヴィスカウンツ)やShane Fenton(シェーン・フェントン)などがレコーディングしています。

この”Five Foot Two, Eyes of Blue”はオール・ガール・バンドの”Melodears”を率いたことで有名なIna Ray Hutton(アイナ・レイ・ハットン)の50年代のテレビ番組の「The Ina Ray Hutton Show(アイナ・レイ・ハットン・ショー)」でテーマ曲として使用したそうです。
歌詞はFive Foot Two, Eyes of Blue Lyrics - Answers.yahoo.com

Sam M. Lewis
1936年にDamia(ダミア)が歌ってフランスで放送禁止になったシャンソンの”Sombre Dimanche”にサム・M・ルイスは英語の歌詞を付けた”Gloomy Sunday(暗い日曜日)”を1941年にBillie Holiday(ビリー・ホリデイ)が歌ってイギリスをはじめヨーロッパで放送禁止になったことで有名です。 気分が暗くなって自殺したくなるんだとか。

Art Landry
最近私が聴いた”Five Foot Two, Eyes of Blue”はArt Landry and His Orchestraという殆ど無名のダンスバンドでDenny "Dinty" Curtisが歌った1925年のチャールストン演奏でした。
Five Foot Two, Eyes of Blue - Art Landry Orc. with Denny "Dinty" Curtis (1925) - YouTube

Five Foot Two, Eyes of Blue Vintage Sheet Music
Dennis Day 1949
僕の彼女はどこ? Five Foot Two, Eyes of Blue_b0002123_1754242.jpg
Dennis Day(デニス・デイ):
アイリッシュ系アメリカ人のコメディアンで歌手でラジオのパーソナリティ。
Dennis Day in The Jack Benny Program (1960) - YouTube



by koukinobaaba | 2010-10-01 23:17 | 音楽
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