四人の恐迫者 Ruby Duby Du from Key Witness (1960)

1950年代から現れたビート族をテーマにしたビートニク映画はヌーヴェルヴァーグの若い監督たちも手掛けたようでした。

1960年にフィル・カールソン(Phil Karlson)が監督した異色スリラー映画の「4人の脅迫者」はそんなビート族の中でも最も悪質な愚連隊の無軌道極まる行動を描いていますが、ビートニク映画というよりは犯罪映画といった方がよいでしょう。不良グループのスポーツカーとパトカーのカーチェイスがスリル満点。
私はビートニクとは愚連隊とは異なり、詩や音楽を嗜むある種の文化人と認識していました。

ロスアンジェルス東部に住む一人の善良な市民が彼らの起こした刺殺事件を目撃したことから証人となったために加害者たちから脅迫を受けることになります。
脅迫の憂き目に会うフレッドを演じるのが不動産代理店に勤務するジェフリー・ハンター(Jeffrey Hunter)です。携帯電話のなかった時代ですからちょっと電話するにもバーに立ち寄って公衆電話を借りねばなりませんでした。電話ボックスにいたフレッドはホールの若者どもの喧騒を見たのです。ロスアンジェルスのちんぴら(不良ビート族)のリーダーが彼の女であるルビーと踊った青年を刺したのです。何の恐れも無く白昼堂々と人を殺した不良グループの親玉はカウボーイと呼ばれる男です。なんとこの麻薬に溺れたビート族のカウボーイをビートニクが好きなデニス・ホッパー(Dennis Hopper)が演じているのです。フレッドは電話で警察に知らせた後に刺された男に駆け寄って死に際に犯人の名前を聞いたのが不幸の始まり。周りの人々は不良からの仕返しを恐れて警察には何も見ていないと言ったのですが、唯一人正義感溢れるフレッドは敢然と、「yea, I Saw It.」と警官に同行して協力することを誓ったのでした。証言されちゃ困る不良どもはフレッドを黙らせるために、警官を襲って奪ったメモからフレッドの家を付き止めて連日連夜フレッド家族への執拗な脅迫を開始した。自動車をぶつける、真夜中に電話をかける、脅迫状を送る。 フレッドには妻と二人の子供がいたのですが家族全員がノイローゼになります。警察でさえ手に負えないほどのエスカレートぶり。
やがてフレッドの証言でカウボーイは警察に逮捕されましたが、残った3人とカウボーイの愛人のルビーと以前にも増した嫌がらせを続けた後、不適なルビーの発案でフレッドの子供の誘拐を企んだのでした。発砲で子供がかすり傷を負いましたがそれはなんとか未遂に終りました。しかしこれに恐怖を抱いたフレッドはとうとう証言をひるがえしてしまったのです。それにより釈放されたカウボーイはフレッドに復讐します。しかしジョニー・ナッシュが演じる仲間の黒人のアップルが改心してフレッドに協力することになります。大乱闘の末、駆けつけた警官にカウボーイは逮捕されますが、フレッドと共にアップルが証言台に立ち事件は解決したという結末です。

「四人の恐迫者」のトレーラーが観られるKey Witness Trailer - TCM Movie Database
☆「四人の恐迫者」の写真が見られるJeffrey Hunter - Key Witness Photos - jeffreyhuntermovies.com
☆デニス・ホッパーやジョニー・ナッシュの写真も見られるIl cerchio della violenza (Key Witness) Photos - FILM.TV.IT

アップルを演じているのは1972年にボブ・マーレー(Bob marley)が書いた”I Can See Clearly Now”がヒットした黒人歌手のジョニー・ナッシュ(Johnny Nash)です。
Johnny Nash - I Can See Clearly Now (1972) - YouTube
Johnny Nash - Some of your lovin' (45 rpm)- YouTube

監督のフィル・カールソンは1940年代後期から1970年代までハードボイルドなギャング映画を手掛けています。
例えば、「4人の脅迫者」の前の1959年にはTVシリーズ「アンタッチャブル」の映画版でロバート・スタック(Robert Stack)が主演した「どてっ腹に穴をあけろ(The Scarface Mob)」、1966年にはディーン・マーティン(Dean Martin)が主演した「サイレンサー 沈黙部隊(The Silencers)」があります。この音楽はエルマー・バーンスタイン(Elmer Bernstein)でした。

フレッド役で主演したジェフリー・ハンター(1926 – 1969)は端正な顔立ちで青い目が美しく、おまけにマッチョな身体つきの俳優でした。 「四人の恐迫者」の前には1954年にロバート・ワグナー(Robert Wagner)が主演したデルマー・デイヴィス(Delmer Daves)監督の「白い羽根(White Feather)」や「赤い崖(A Kiss Before Dying)」、テーマ曲が大ヒットした1956年の「誇り高き男(The Proud Ones)」、そして「四人の恐迫者」の後には1961年の「キング・オブ・キングス(King of Kings)」で主演した他、1962年の「史上最大の作戦(The Longest Day)」などの大作に出演し1960年代いっぱい映画やテレビで活躍しましたが、惜しくも43歳の時、脳梗塞から脳出血を起こして亡くなりました。
ジェフリー・ハンターがフランス女優のPascal Petit(パスカル・プティ)と共演した映画が2本あります。 1968年にジェフリー・ハンターの金鉱を巡るマカロニ・ウエスタン風の西部劇の「Find a Place to Die」と1967年にイタリア人のドンファン伯爵を演じパスカル・プティと共演した歴史パロディ映画の「Frau Wirtin hat auch einen Grafen(Sexy Susan sins again」です。

Jeffrey Hunter Photos- YouTube

Key Witness Soundtrack MGM Records LL-2093
Ruby Duby Du & Leather Jacket Cowboy
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音楽は既に1955年の「Blackboard Jungle(暴力教室)」で有名なCharles Wolcott(チャールス・ウォルコット)指揮によるMGMスタジオ管弦楽団の演奏です。
A面は「4人の脅迫者」のロック・バージョンでB面は「4人の脅迫者」のテーマ曲となっています。
手持ちのレコードの解説によると、「最近、ビート族と呼ばれる若者の反抗的な行動が世界的な社会問題となっており、彼らの生態を描いた映画が各国で作られています。」と書かれています。
レコードは1960年11月のリリースのようです。
Ruby Duby Du from "Key Witness" (1960 45rpm)- YouTube

”Ruby Duby Du”は1960年にビルボードのチャート入りした人気のギターとテナーサックスをフィーチャーした曲でタイトルは映画の中のカウボーイの恋人の”ルビー”がリーダーが逮捕された後にグループの指揮を取ろうとしたところ仲間から”Queen Ruby Duby (rbydby)”と偉ぶる態度を揶揄されたところから取ったらしいですが、R&Bグループのクローヴァーズ(The Clovers)の1953年のヒット曲に”Lovey Dovey”という曲や、1958年にチャンプス(The Champs)のメンバーだったデイヴ・バーゲス(Dave Burgess)が歌った”Lovey Dovey Baby”や、ウエスタン・スウィングのHank Thompson(ハンク・トンプソン)が歌った”Rub-A-Dub-Dub”、それに映画の前年の1959年にロイ・オービソン(Roy Orbison)のヒット曲で”Ooby Dooby”もありましたからルビーという名とこれらのヒット曲をもじったのかも。
このロック・ビートの曲は冒頭のシーンで刺された青年がルビーと踊っている時にジュークボックスから流れた他、不良グループの集会シーンでBGMとして使用されました。
同じくビートニクのリーダーを想定したテーマ曲の”Leather Jacket Cowbo”はイントロからテナーサックスのソロが入ったブギウギ調のロックです。
このギターを演奏しているミュージシャンは人気が出た後でカントリー&ブルースギタリストのトビン・マシュー(Tobin Mathews & Co.)であることが分ったそうですが情報はありません。
レコードの解説にあったようにこの曲が”ビート族にピッタリ”というクダリハハナハダ疑問ですが。

Steel Guitar Rag / Irish Washerwomanという曲もEP盤でブルースでお馴染みのChief Recordsからリリースしているそうですが、「Chief Records, The Best of Vol. 3」というLPにエルモア・ジェームス(Elmore James)やジュニア・ウェルズ(Junior Wells)などと一緒に”Ruby Duby Du”、”Leather Jacket Cowboy”、”Irish Washerwoman”、”Steel Guitar Rag”が収録されています。
※同時期、ロカビリー歌手のWilly HensonがステージネームとしてTobin Matthewsを名乗ったことがあったとか。 ”t”が一個多いなんて、ややこしや。

Key WitnessのサントラEPレコードの情報を中古レコードサイトで見ると「分厚いサウンドのスイング系ナンバーです。ジャズ系お探しの方宜しくご検討ください。」とありましたがロック化ポップスであってもジャズ系とはいえない曲です。

チャールス・ウォルコットが手掛けた映画音楽は多くはありませんが、1955年にはグレン・フォード(Glenn Ford)やシドニー・ポワチエ(Sidney Poitier)が出演したロックで有名な「暴力教室(Blackboard Jungle)」があります。この映画で使用されたBill Haley and the Comets(ビル・ヘイリー)の”Rock Around The Clock”は一世を風靡しました。

☆Phil Karlson
フィル・カールソンが1952年に監督したフィルム・ノワールの「アリバイなき男(Kansas City Confidential)が下記のリンクで観られます。
1947年に三十四丁目の奇蹟(Miracle on 34th Street)で弁護士役を演じたジョン・ペイン(John Payne)が主演している他、西部劇俳優のリー・ヴァン・クリーフ(Lee Van Cleef)も出演してます。
JKansas City Confidential (1952) - YouTube



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by koukinobaaba | 2009-06-01 15:20 | 映画
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